「あたし、男の人をビニールハウスに入れるの初めてなんです」
クリロー花子は潤んだ瞳で俺を見つめている。
「んっ、そ、そうなのか。俺が入っちゃって何だか悪いな」
ハウスに入った途端に、花子は自分の色を変えたような気がする。
「珈琲、紅茶、どちらにします?それとも、あ、た、し?」
「お、おい、は、花子さん。なんてことを……」
「冗談ですってば、一度この台詞言ってみたかったんですよ」
「心臓に悪いからやめてくれ……」
クリロー花子↑
俺はガーデンセンターで花子に散々振り回された後、予約しておいたビストロで昼食を済ませた。
そして、花子のビニールハウスまで送っていくと少しハウスでお茶をしてくれと駄々をこねられた。で、上がったわけなんだが、どうにも落ち着かない。
(続く)