yuurakusai2のブログ

手間をかけない小さな庭の物語(クリスマスローズ、雪割草、ハーブ等、小さな庭に自生している花々を投稿していきます♪)

第1話 甘い生活

「あたし、男の人をビニールハウスに入れるの初めてなんです」
 クリロー花子は潤んだ瞳で俺を見つめている。


「んっ、そ、そうなのか。俺が入っちゃって何だか悪いな」
 ハウスに入った途端に、花子は自分の色を変えたような気がする。


「珈琲、紅茶、どちらにします?それとも、あ、た、し?」


「お、おい、は、花子さん。なんてことを……」


「冗談ですってば、一度この台詞言ってみたかったんですよ」


「心臓に悪いからやめてくれ……」


 クリロー花子↑




 俺はガーデンセンターで花子に散々振り回された後、予約しておいたビストロで昼食を済ませた。
 そして、花子のビニールハウスまで送っていくと少しハウスでお茶をしてくれと駄々をこねられた。で、上がったわけなんだが、どうにも落ち着かない。


(続く)

ガーデンセンターにて、美しすぎる君を見た

 ジョイフル本田ガーデンセンターは俺の管轄地域だ。
定期的に見回りを行っている。


 今日は定期見回りの日だが、クリロー捜査官隊長も同行しているので緊張している。


遊楽「やぁ、おはよう」


店員「おはようございます、1000円均一コーナーが拡充されましたよ。見てってくださいね」


遊楽「ありがとう、じゃ早速行ってみるよ」


 俺と隊長は増設コーナーへと向かった。
確かにクリローコーナーは増設されて広さを増していた。その数、50鉢程……


俺と隊長は一鉢づつ花弁をめくって調査していくと、、


無名居士 隊長 「遊楽くん、この娘をみたまえ」


遊楽    「はい、この娘が何か?」


無名居士 隊長 「かなりの重罪だよ、心盗人だよ」


遊楽 「わかりました、すぐに逮捕します」


クリロー「あたしが何をしたっていうんだい?」



遊楽「柑橘系バイカラー及び、心盗人の罪だ」


クリロー「ふんっ、そんなことであたしを逮捕出来るのかしらね」


遊楽 「何を世迷い言を言う、この方を誰と心得る?クリロー捜査官隊長の無名居士様だ、ええい、ひかえおろ!!」


クリロー「隊長様かい、そんじゃあ仕方ないわね」




 俺は隊長の温かい眼差しに見送られながら、柑橘系バイカラーを抱えてレジへと向かった。

馴染みの園芸店にて

 久しぶりに馴染みの園芸店「マルシェ」の扉を開けた。


店長「いらっしゃいませ~」


店員「いらっしゃいませ!」


遊楽「やぁ、久しぶり」


店長「ゆうさん、クリスマスローズ特設コーナーが出来ましたので見てってください」


遊楽「ほぉ、良いもん作ったね」


店長「こちらです」


 俺は店長に肩を抱かれて、特設コーナーへと向かった。


 店の奥まった場所に3メートル四方の縁台が設置されており、
居並ぶクリロー達は20鉢程、いずれも美人揃いだ。


遊楽「かなりの上玉ばかり集めたね」


店長「へへっ、お一つどうです?」


 店長は揉み手をしながら、上目遣いに俺の顔色を伺っている。


 何だか、悪代官と越後屋の会話のようだ……



遊楽「あぁ、もちろんいただくよ。少し見させてくれないか」


店長「よこざんす、あっしは作業しておりますので決まったら声をかけてください」


遊楽「分かった」


一鉢づつ花弁をめくって見ていくと、


遊楽「うっ、おまえは……」


 恥じらいを帯びたそのうなじ、、煌めくような赤、朱色、ピンク?



クリロー「よく、あたしを見つけたね」


遊楽「た、逮捕する……」


クリロー「ふんっ、一体なにの容疑かしらね」


遊楽「しらばっくれるな、お前はピンクゴールドダブルだろ」


クリロー「分かっていたのね、驚いたわ」


遊楽「俺はクリロー捜査官だからな、甘く見るなよ」


クリロー「仕方ないわね、用意するから少し待って」


遊楽「分かった、変な真似はするなよ」



俺はピンクゴールドを抱えてレジへと向かった。