yuurakusai2のブログ

手間をかけない小さな庭の物語(クリスマスローズ、雪割草、ハーブ等、小さな庭に自生している花々を投稿していきます♪)

雪の妖精

 突然、真っ白なコートを羽織った若い女性が飛び込んできた。 


  白い息が弾んでいる。


 急いで駆けてきたようだった。首に巻いたマフラーも白い、まるで雪の妖精が現れたようだ。


 その女性は俺を見つけると、ぶつかるように胸に飛び込んできた。




 佳子だった。 




「あたしを連れていって! あなたがあたしの全てなの!」


 甘い香りに優しく包み込まれた。




 俺が実家を訪ねた後、皆が止めるのを振り切って追いかけて来たのだろう。


 佳子の体は氷の様に冷えて


   愛おしさがこみあげて


 俺は凍えた佳子の両手を 自分の両手で慈しむように包み込む


    息をそっと吹きかけて暖めた 何度も 何度も








(fin)