雪の妖精
突然、真っ白なコートを羽織った若い女性が飛び込んできた。
白い息が弾んでいる。
急いで駆けてきたようだった。首に巻いたマフラーも白い、まるで雪の妖精が現れたようだ。
その女性は俺を見つけると、ぶつかるように胸に飛び込んできた。
佳子だった。
「あたしを連れていって! あなたがあたしの全てなの!」
甘い香りに優しく包み込まれた。
俺が実家を訪ねた後、皆が止めるのを振り切って追いかけて来たのだろう。
佳子の体は氷の様に冷えて
愛おしさがこみあげて
俺は凍えた佳子の両手を 自分の両手で慈しむように包み込む
息をそっと吹きかけて暖めた 何度も 何度も
(fin)
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