yuurakusai2のブログ

手間をかけない小さな庭の物語(クリスマスローズ、雪割草、ハーブ等、小さな庭に自生している花々を投稿していきます♪)

パンドラの箱

「いつものモエ・シャンドンですか?」


 美月は俺の傍らに座ると微笑んだ。


ふわりと漂う甘い香りが心地よい。


「今夜はライフログにしようかな」


「あら、珍しいですね」

 美月は一瞬驚いた表情をしたが、直ぐにロックグラスに注ぎ入れた。


「ライフログはね、塩っぽくてドライという強烈な個性があるんだ。         惚れ込むか、大嫌いになるかのどちらかと言われている。見方を変えれば
 誰もが好きになる とも言えるかな……まるで、美月のようにね」


「えっ?それって褒めてくれてるのですか?」


「まぁ、褒めてるっていうか、口説いてるのかな」


「お上手ですね、遊楽さん」



「さて、美月の話を聞こうかな」


「あ、はい。でも私の暗い話ですよ、いいんですか?」


「いいよ、どんなに暗くても」




 彼女は、ゆっくりとパンドラの箱を開けた。



私は、親の愛情のおかげで傷一つつかず社会に出れた。


当時「発達障害」という病名が浸透していなくて


簡単なことが出来ず、ほんの数分前のことも忘れしまう。


当時はひどかった上司の下ネタにも耐え灘く、会社を辞めた。





それから簡単なアルバイトを転々とするうちに


自分は惨めだ、転落したと思うようになった。


3年後の夏の朝通りすがりの男性に侵され


それからすぐに出会ったホスト上がりのチンピラに


「似ているね」とついていった。




(続く)