yuurakusai2のブログ

手間をかけない小さな庭の物語(クリスマスローズ、雪割草、ハーブ等、小さな庭に自生している花々を投稿していきます♪)

真梨恵の店

 俺は、週に二回程のペースで「樹々」に通っていた。


    少しずつ真梨恵とはプライベートな話もする様になって、彼女が独立して店を持ちたいと相談してきたのだった。


 当時、真梨恵は二十五歳。                           店を開くには若いような気もしたが俺は開店資金を出して店をやらせる事にした。


 店舗選びや内装等は彼女に任せ、俺は資金だけ融通したのだった。


 クラブ「マリエ」は開店から現在に至るまで右肩上がりで黒字を叩き出している。  店で雇っているホステスも六人になってクラブとしては中堅クラスの評価を受けている。


「遊楽さん、まさか……あのひとが以前の恋人だったの?」
 花子は、今にも涙が溢れんばかりの深刻な表情をしている。


「んなわけ無いだろって。俺は資金を出して名目上のオーナーになってるだけだ」


 彼女は、俺の胸に頭を押し付けて安堵した表情をしている。俺は髪を優しく撫でて彼女の機嫌が治るのを待つ……。


「よかったぁ。遊楽さんはあたしだけだよね?」


「あぁ、もちろんさ」
 クリロー花子の煌めくような笑顔が戻ってきた様だ……。


(続く)