ソレイユ、外界へ行く!
あたしは、クリスマスローズのソレイユ。
いつからガーデンセンターに居る様になったのかさえ覚えていない……。
人間達がたまに来るけれど、あたしの魔眼で幻覚を見せたりして簡単にやりすごしていたわ。それが、この一週間。毎朝、決まった時間にやってきて、あたしの花弁をめくる男がいるのよ。
その男は、あたしをめくると、鉢の上に香ばしいマグアンプを置いていくの。 そのマグアンプの美味しさったらたまらないのよ。もう天にも昇るような幸せな気持ちになれるわ。
それで外界に出てみようって思ったの。
あたしをめくった男の名は遊楽、あたしを外へ連れてってくれたわ。
外の世界は、懐かしい気持ちが少ししたけど……やっぱり覚えていないわね。 遊楽は、クリロー捜査官みたいね。かなりの使い手だと思うわ。
だって、あたしが遊楽に密かに幻覚や淫夢を仕掛けたけど効かなかったわ。 人間のくせにクリスマスローズより魔力が強いなんて可笑しいわよね。
遊楽は、大通りのお店でベージュのワンピースを着せてくれたわ。可愛い花模様が刺繍されているその服は、あたしのお気に入りになったの。
「ソレイユ、食事をしようか?」
「はーい♡」
穏やかな海の側にあるレストランのテラス席は潮風が心地よくて、食事がさらに美味しく感じるわね。
(続く)
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