yuurakusai2のブログ

手間をかけない小さな庭の物語(クリスマスローズ、雪割草、ハーブ等、小さな庭に自生している花々を投稿していきます♪)

ソレイユの願いは・・・

 皆様、明けましておめでとうございます。


本年もよろしくお願いします。ペコリ(o_ _)o))


******




  
 俺はダジュールの郊外にあるガーデンセンターで、
  いつもの様にクリスマスローズを漁っていた。


お宝は無いかと、一鉢づつ花弁をめくっていると、
                                        「お願い、めくるのはやめて!」
 か細い声で精一杯叫ぶ声がした。


「何もしないから、めくらないで……」
 哀願するような声に、俺はめくる気ををなくしていた。



「んっ、わかった。しかしおかしな真似をしたら直ぐにめくるからな。両手を挙げろ」


 相手は、何と言ってもクリローだ。何を企んでいるか分からない。


 俺は、縁台の中央の台座から降りてくるソレイユを見て愕然とした。


亜麻色の髪を腰まで垂らせて、透き通る様な朱色の瞳が俺を見つめていた。


 ソレイユは美しくまだ幼さの残る少女だった。                  しかし背中には天使のような翼、頭にはダブルの花びらをつけていた。


 さらにピンク色の袖無しレオタードを着て、露出度の高い煽情的な格好をして両手を挙げる様に、俺はうろたえてしまった。


「これでいい?」


 両手を挙げ上目遣いに俺を見上げて、ちょっと拗ねた仕草をする少女……      何これ?ほんとにクリローなのか?


「分かった。そこへ座れ」
 ソレイユは、全身を震わせてぺたんとアヒル座りをした。


「あのね、あたしもうここから出たいの、だから連れてって」


「えっ?ガーデンセンターから出るって、お前が出たらまずいだろ」


「どうしてまずいの?あたし、もうここに一週間も居るのよ。いい加減に飽きるわよ」


「しかし、お前が外に出たら悪さをするだろう?」


「ええっ?そんな事しないわよ。あんたの言う通り何でもするからお願いよ」


「えっと、ちょっ、ちょっと待ってくれよ」


 見た目は確かに幼さの残る少女だが、クリローには違いは無い。じゃ何故外に出たがるのだろうか。


「何故、外の世界に出る気になったんだ?」


(続く)