ソレイユの願いは・・・
皆様、明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。ペコリ(o_ _)o))
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俺はダジュールの郊外にあるガーデンセンターで、
いつもの様にクリスマスローズを漁っていた。
お宝は無いかと、一鉢づつ花弁をめくっていると、
「お願い、めくるのはやめて!」
か細い声で精一杯叫ぶ声がした。
「何もしないから、めくらないで……」
哀願するような声に、俺はめくる気ををなくしていた。
「んっ、わかった。しかしおかしな真似をしたら直ぐにめくるからな。両手を挙げろ」
相手は、何と言ってもクリローだ。何を企んでいるか分からない。
俺は、縁台の中央の台座から降りてくるソレイユを見て愕然とした。
亜麻色の髪を腰まで垂らせて、透き通る様な朱色の瞳が俺を見つめていた。
ソレイユは美しくまだ幼さの残る少女だった。 しかし背中には天使のような翼、頭にはダブルの花びらをつけていた。
さらにピンク色の袖無しレオタードを着て、露出度の高い煽情的な格好をして両手を挙げる様に、俺はうろたえてしまった。
「これでいい?」
両手を挙げ上目遣いに俺を見上げて、ちょっと拗ねた仕草をする少女…… 何これ?ほんとにクリローなのか?
「分かった。そこへ座れ」
ソレイユは、全身を震わせてぺたんとアヒル座りをした。
「あのね、あたしもうここから出たいの、だから連れてって」
「えっ?ガーデンセンターから出るって、お前が出たらまずいだろ」
「どうしてまずいの?あたし、もうここに一週間も居るのよ。いい加減に飽きるわよ」
「しかし、お前が外に出たら悪さをするだろう?」
「ええっ?そんな事しないわよ。あんたの言う通り何でもするからお願いよ」
「えっと、ちょっ、ちょっと待ってくれよ」
見た目は確かに幼さの残る少女だが、クリローには違いは無い。じゃ何故外に出たがるのだろうか。
「何故、外の世界に出る気になったんだ?」
(続く)
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