久しぶりの・・・デート?
「ごめんなさい、待ちましたか?」
息を弾ませて、雛子が乗り込んでくると、ふっと甘い香りが鼻腔をくすぐる。
「いや、丁度着いたところだよ」
俺は雛子のマンション前で車を停めていた。
「遊楽さんが来るなんて久しぶりですね」
雛子は悪戯ぽい目をして俺の顔を覗き込んでいる。
「そんなに久しぶりかな? って雛子とはマルシェで会ってるじゃないか」
「とぼけないでくださいよ。私が言ってるのはですね、こうやって休日に誘ってくれるのが久しぶりって言ってるんですよ」
彼女はリスの様に頬を膨らませている。
「んっ?あぁそうだな」
「さぁ、今日は私とデートですからね。覚悟してくださいよ」
雛子は器用にウインクをすると俺の腕に絡まった。
「ちょっ、おまえ危ないだろ。運転中だよ」
「気にしない、気にしない。さぁ行きましょ」
ふぅ~、嫌な予感しかしないのだが・・・
(続く)
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