yuurakusai2のブログ

手間をかけない小さな庭の物語(クリスマスローズ、雪割草、ハーブ等、小さな庭に自生している花々を投稿していきます♪)

温泉街は銀世界

 その日は明け方からサラサラと雪が降り続いて、


   温泉街は一面の銀世界になっている。


 午後の休憩時間に、女将から大場家の両親が俺に会いたがってると告げられた。


 今夜、来られるかと問われたので行くことにした。



  そうか、とうとう佳子との親密な関係が、両親の耳に入ったのだろう。


 泊り客の夕食膳を出し終えると、俺の仕事は終わりになる。


 身支度を整えて、長靴を履いて外に出た。雪は降り積もっていたが大したことは無かった。

 サクッ、サクッと、踏みしめるように歩きながら、


    佳子との夢の様な逢瀬を思い返していた。


 幸せすぎて怖いくらいと言った時の泣きそうな笑顔


   澄んだ瞳に宿る輝き  抱きしめた時の甘い香り 


   浮かび上がっては消え、また現れる


  その度に胸がぎゅっうと締めつけられる。





(続く)