温泉街は銀世界
その日は明け方からサラサラと雪が降り続いて、
温泉街は一面の銀世界になっている。
午後の休憩時間に、女将から大場家の両親が俺に会いたがってると告げられた。
今夜、来られるかと問われたので行くことにした。
そうか、とうとう佳子との親密な関係が、両親の耳に入ったのだろう。
泊り客の夕食膳を出し終えると、俺の仕事は終わりになる。
身支度を整えて、長靴を履いて外に出た。雪は降り積もっていたが大したことは無かった。
サクッ、サクッと、踏みしめるように歩きながら、
佳子との夢の様な逢瀬を思い返していた。
幸せすぎて怖いくらいと言った時の泣きそうな笑顔
澄んだ瞳に宿る輝き 抱きしめた時の甘い香り
浮かび上がっては消え、また現れる
その度に胸がぎゅっうと締めつけられる。
(続く)
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